力士の収入は、月給や褒賞金など協会から公表されているもののはかに、協会の理事会の裁断によるもの、公表されていないもの、タニマチと呼ばれる後援者からのご祝儀などがあって、全貌をとらえるのは大変むずかしいものです。ここに示す金額は、平成八年(1996)時点の規定に示してあるものを基本にし、平成十年(1998) 一月までに公表されたものを参考にしてあります。正確な金額でなくても、それに近いものと考えてよいでしょう。
力士の給料
給料は月給制で、十両以上の力士に支給されます。幕下以下にはありません。
月給の内訳は、「基本給」と「手当」に分かれており、これを合わせた額は次のとおりです。
- 横綱 260万6,000円
- 大関 216万9,000円
- 三役 156万4,000円
- 幕内 120万9,000円
- 十両 95万7,000円
ただし、各本場所の開催月から、各本場所の番付の階級によって支給されます。力士の給与が月給制になったのは、昭和32年(1957)5月のことです。それまでは、「歩方金」と言って本場所の収益を一定の割合で分配していて、収入が不安定でしたが、月給制になってからは、力士の生活が安定しました。なお、年寄、行司、呼出し等の給与制度も、昭和32年5月に制定され、さらに平成10年1月から給与改定が実施されました。月給は平成9年(1997)12月まで毎年、原則として前年比6パーセントの定期昇給でしたが、平成10年1月から10パーセントに引き上げられることになりました。それに加えて「特別昇給」という名日で臨時に昇給することもあります。これは、普通のサラリーマンの月給制度と同じような仕組みです。したがって、力士の月給も毎年変わって不思議ではありません。定期昇給の10パーセントは固定的なものではなく、何パーセント定期昇給をするかは理事会の判断によります。なお、サラリーマンに支給される定期的なボーナスはありません。
力士褒賞金
相撲社会独得の「褒賞金」という制度があり、これが月給と二本立てになっています。力士は「序ノロ」に入ったときから、番付、場所の成績、昇格などによって、褒賞金の最低支給標準額が決まっています。これは、 一般に「持ち給金」とか「基本給金」と呼ばれ、単に「給金」と言うこともあります。各力士は力士生活を続けるかぎり褒賞金がついて回り、それは、番付、場所の成績、昇格などによって加算されていきます。力士褒賞金としての最低支給標準額は、地位によって次のとおり決まっています。
- 横綱 150円
- 大関 100円
- 幕内 60円
- 十両 40円
- 幕下以下 3円
地位が下がると、昇進当時の増加額に相当する金額を減らし、また、地位が上がったときに最低支給標準額に達していなければ、その額に引き上げます。この褒賞金をお金にして支給するときは、4、000倍します。たとえば、ある力士の褒賞金が1、000円であれば、1、000円×4、000で400万円が支給されます。ただし、これは場所ごとに十両以上の力士にだけ支給されます。幕下以下の力士もそれぞれ褒賞金を持っていますが、支給されません。ちなみに、褒賞金が4、000倍になったのは平成10年(1998) 1月からで、それまでは昭和61年(1986)以来の2、500倍でした。
勝ち越しは十両以上八番、幕下以下は四番ですが、それを基準にして、勝ち星が1つ増えるごとに力士褒賞金が50銭増えます。たとえば9勝すると、勝ち越し星二番で力士褒賞金が100銭となり、新しい持ち給金はその100銭を加算したものになります。幕下以下で4勝すれば、1つ勝ち越しとなり、50銭となります。この50銭が、これまで取得している持ち給金に加算されて新しい持ち給金になります。力士褒賞金は「負け越し」ても減らないことになっていて、勝ち越したときだけ増える仕組みです。8勝を賭ける相撲を「給金相撲」というのは、この力士褒賞金によって50線上がるからです。三役を除く幕内力士(平幕)が横綱に勝つと、俗に「金星」といって、力士褒賞金が10円増加します。この場合、勝ち越さなくても、給金10円は授与されます。力士褒賞金は引退するまで場所ごとに支給されますので、金星が多ければそれだけ支給額も多くなるわけです。たとえば金星を7個あげた力士には、それを4、000倍した28万円が場所ごとに支給されます。ただし、不戦勝の場合は、金星としての「給金」は適用されません。実際に対戦して勝って、初めて給金に加算される「金星」となります。さらに、幕内以上の力士で優勝すると、褒賞金は次のように増加します。
- 全勝優勝 50円
- 優勝 120円
十両以下では、優勝しても力士褒賞金は増えません。
幕下以下奨励金
本場所の成績によって力士養成員に支給されるものです。
幕下 |
三段目 | 序二段以下 | |
勝ち星 | 2、500円 | 2、000円 | 1、500円 |
勝ち越し星 |
6、000円 | 4、500円 | 3、500円 |
幕下以下では勝ち越しは4勝なので、もし5勝すれば勝ち越し星は二番となります。この幕下以下奨励金制度によると、たとえば、五勝すれば勝ち星で1万2、500円、さらに二番勝ち越しで1万2、000円となり、合計2万4、500円が奨励金として出ることになります。
力士褒賞金の項に「勝ち越し1つで50円」とありますが、これは50銭(0.5円)の間違いではありませんか?
ご指摘ありがとうございました。記述に誤りがあったため修正いたしました。
力士褒賞金に関して、9勝した場合は、負け数が6になるので、勝ち越し星は三番になり、力士褒賞金は150銭になるのではないですか?同様に幕下力士以下奨励金に関しても、5勝した場合の勝ち越し星は三番だと思います。
100銭=1円の表記を入れた方が分かりやすいかもです。
質問ですが、力士報奨金は毎月ではなく場所ごとの給付ですか?
金星を取ったら基本給が上がると聞いてましたが、幕内から十両に下がっても金星の給金は残って計算されるのですか?
幕内の給料は前頭1枚目でも前頭17枚目でも一緒なのですか?
全体と成っていますが全休の間違いではないでしょうか。
運営局です。ご連絡をありがとうございます。修正いたしました。
「優勝 120円」と書いてあるがこれは30円の間違いではないのか
元大関照の富士は怪我で幕下以下になつていますが、給料はどうなっていますか、老人会で話題になりました
金星の給金は幕内のみに給与されるのですか、幕内から十両、幕下に落ちても給与されるのですか?
力士の階級別給料を教えてください